
「不動産投資は多くの自己資金が必要だから私には無理」というイメージがありますが、実は不動産投資を行う人の多くは、金融機関から融資を受けてローンを組み行います。
つまり感覚としては、マイホームを住宅ローンを組んで購入する感覚と同じです。
そのため、自己資金が少なくても不動産投資を行うことは可能です。
本記事では、実際にいくらぐらいの自己資金で不動産投資が可能なのかについて詳しく解説していきます。
目次
1 必要な自己資金はローンの種類によって違う
2 大切なのは自己資金比率、金利、返済期間の3要素
3 大切なのはいくらから?よりも収益シミュレーション
必要な自己資金はローンの種類によって違う
不動産投資を行う際、ほとんどの人はローンを組みますが、そのローンにも「通常のローン」と「フルローン」の2種類があります。
どちらのローンを選択するかによって必要な自己資金額が次の表のように変わってきます。
ローンの種類 | ローンの概要 | 必要な自己資金額 |
通常のローン | 一般的にアパートローンと呼ばれる不動産投資用ローンのことです。不動産投資に利用される一般的なローンです。通常物件価格の10〜20%の頭金が自己資金として必要になります。頭金の金額は「個人の属性」や「物件の属性」「金融機関の種類」「日本経済の状況」などで大きく変動します。 | 物件価格の10~20% |
諸経費(物件価格の7〜8%) | ||
フルローン | 物件価格すべてを融資してもらえるローンです。必要な自己資金は物件価格以外にかかる諸経費(不動産仲介手数料、税金、保証料など)のみです。 | 諸経費(物件価格の7〜8%) |
このように自己資金ゼロであっても、不動産投資は可能です。
これだけを見れば「自己資金ゼロ」の方がお得のように思えますが、自己資金額だけで不動産投資の可否を判断するのは危険です。
なぜなら、自己資金額が低くなればなるほど毎月の返済額は多くなり、キャッシュフローが悪くなるためです。
場合によっては、毎月の家賃収入よりも返済額の方が大きくなり、赤字が続いてしまう可能性も十分にあります。
売却まで続くマイナスのキャッシュフローに耐える資金力があれば、ローン完済後売却によって大きく利益に転換することが可能ですが、中には途中でマイナス分の支払いが厳しくなり、泣く泣く物件を手放さざるを得ない状況になってしまうケースも多くあります。
大切なのは、物件価格やローン返済年数など「これくらいの自己資金で不動産投資を行うとこれくらいのキャッシュフローになる」といった収益シミュレーションを事前に行なっておくことです。
大切なのは自己資金比率、金利、返済期間の3要素
「必要な自己資金額」だけで不動産投資を行うかの判断をしてしまうのは危険です。
特にフルローンで少額の自己資金で不動産投資を始め、途中で返済が厳しくなり破綻してしまった事例は少なくありません。
自己資金額だけではなく不動産投資を行うかの判断をするためには、「自己資金比率(物件価格に占める自己資金の割合)」「金利」「返済期間」の3要素で収益シミュレーションを行い、キャッシュフローをしっかりと確認することが大切です。
例えば、次のような条件で自己資金比率別に簡易収益シミュレーションを行なってみましょう。
・物件価格:1,200万円
・満室想定家賃収入:78万円
・返済期間:25年
・金利:2.2%
0%(0円) | 10%(120万円) | 20%(240万円) | 30%(360万円) | |
1年目 | 38,520 | 100,968 | 163,417 | 225,864 |
2年目 | 77,040 | 201,936 | 326,834 | 451,728 |
3年目 | 115,560 | 302,904 | 490,251 | 677,592 |
4年目 | 154,080 | 403,872 | 653,668 | 903,456 |
5年目 | 192,600 | 504,840 | 817,085 | 1,129,320 |
10年目 | 385,200 | 1,009,680 | 1,634,170 | 2,258,640 |
15年目 | 577,800 | 1,514,520 | 2,4512,55 | 3,387,960 |
20年目 | 770,400 | 2,019,360 | 3,268,340 | 4,517,280 |
25年目 | 963,000 | 2,524,200 | 4,085,425 | 5,646,600 |
この収益シミュレーションは年間の家賃収入から、毎年のかかる諸経費を引いたものです。
つまり、毎年どれくらいの金額が手元に収入として入ってくるかを計算したものになります。(※税金は考慮していません)
この簡易収益シミュレーション結果を見ると、自己資金比率が低ければ低いほど、年間で手元に収入として入ってくる金額は少なくなります。
また、場合によっては最初の1年は諸経費などの影響で赤字になってしまう場合もあります。
このような収益シミュレーションを行うことで、「自己資金をこれくらい出してローンを組むと、毎月、毎年これくらいの収入が入り、最終的に何年目で自己資金が回収できる」または「自己資金は少ないが、返済完了まで毎月マイナスになってしまう」などキャッシュフローを想定することができます。
この収益シミュレーションは、あるWebサイト の収益シミュレーション機能を使って簡易的に算出したものですが、実際の収益とは異なります。実際にはこれに税金がかかったり、空室率などを想定(5%程度想定しておくのが一般的)してさらに詳細な収益シミュレーションを行う必要があります。
まずは簡易的に収益シミュレーションを行ない物件を絞り込み、そこから詳細な収益シミュレーションを行なっていくことで、より手堅い不動産投資を行うことができます。
大切なのはいくらから?よりも収益シミュレーション
自己資金には限りがあるため、自己資金額によって不動産投資ができるかどうかを判断するのも1つですが、フルローンなどを使って自己資金が少額でも不動産投資を行うことは可能です。
大切なのは、自己資金額がいくらあるのかではなく、その物件を購入することによって自分にとって得たい収益が得たい時期に得られるかどうか、です。
それを事前に調べる上でも、収益シュミレーションをしっかりとしておくことが大切です。