
「大学卒業まで一体いくらかかるのだろう?」子どもを育てて行く親であれば誰もが思う疑問だと思います。
また、実際にお金がこのままだと足りないので奨学金を利用しようと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、大学卒業までにかかる子供の学費の目安や奨学金を借りた場合に最終的にいくら支払わなければならないのか、について詳しく解説いたします。
目次
1 義務教育でかかる学費
2 義務教育でも奨学金制度は利用できるの?
2.1 高等学校でかかる学費
2.2 高等学校で利用できる奨学金制度
2.3 大学でかかる学費
3 奨学金を借りた場合の返済額
4 奨学金に頼らない資産形成方法も検討してみよう
義務教育でかかる学費
小学校、中学校の9年間の義務教育では、公立か私立どちらを選択するかによって次の表の通り大きく変わってきます。
公立小学校(円) | 私立小学校 | |
小学校6年間でかかる学費総額 | 614,424 | 5,590,368 |
中学校3年間でかかる学費総額 | 502,158 | 3,079,653 |
義務教育9年間でかかる学費総額 | 1,116,582 | 8,670,021 |
すべて公立の小中学校に通った場合でも約112万円の学費が9年間でかかってきます。
私立の小中学校の場合にはその約8倍もの学費がかかってきます。
さらに、学校以外での習い事や、クラブ活動、塾などを入れるとさらに多くの金額が必要になってくることが分かります。
義務教育でも奨学金制度は利用できるの?
義務教育であっても母子家庭や父子家庭、低所得者など経済的な理由で十分な教育を受けられない子どもの支援として各市区町村や公的機関、または教育機関が実施する次のような「奨学金(返済の必要あり)」を利用することが可能です。
また合わせて「給付金・援助金(返済の必要なし)」を利用することも可能です。
しかし、決められた条件を満足することが条件となります。詳しくは各奨学金のページをご覧ください。
奨学金名 | 運営元 |
母子福祉資金/父子福祉資金 | 市区町村 |
生活福祉資金 | 社会福祉協議会 |
また、中には私立小学校や独立系教育機関が独自で行なっている奨学金もあるため、一度ご自身がお住いの自治体のHPや、奨学金について調べてみると良いでしょう。
高等学校でかかる学費
高等学校は公立か私立に行くかによってかかってくる費用が次のように大きく分かれてきます。
高校入学には受験が必要なため、滑り止めで私立に入学せざるを得ない場合もあります。
公立高等学校(円) | 私立高等学校(円) | |
高等学校3年間でかかる学費 | 728,076 | 2,220,432 |
【※参考元:文部科学省「子供の学習費調査」】
高等学校で利用できる奨学金制度
義務教育が終わると、年間でかかる学費の負担も大きくなってくるため、利用できる奨学金(返済の必要有り)の種類も増えてきます。
また、国が行なっている「給付金(返済の必要無し)」を受けることも可能です。
国が運営する教育ローンも利用することもできます。
ただし奨学金を受けるにあたっての条件をそれぞれ満足する必要があります。詳しくは各奨学金の詳細ページをご覧ください。
奨学金名 | 運営元 |
日本教育公務員弘済会「奨学金」 | 公益財団法人 日本教育公務員弘済会 |
生活福祉資金 | 社会福祉協議会 |
あしなが育英会「奨学金」 | あしなが育英会 |
交通遺児育英会「奨学金」 | 交通遺児育英会 |
大学でかかる学費
教育の中で一番お金がかかるのが大学です。次表の通り、そもそも国公立大学の数が少ないため、ほとんどの学生は学費の高い私立大学に行くことになります。
大学数 | 国立大学 | 公立大学 | 私立大学 | 私立大学の割合(%) |
777 | 86 | 91 | 600 | 77.2 |
かかる学費は国立・公立・私立大学とそれぞれ次のようになります。
区分 | 入学料(円) | 授業料(円) | 検定料(円) | 施設設備費(円) | 合計(円) | 4年間の合計(円) |
国立(※1) | 282,000 | 535,800 | 17,000 | – | 834,800 | 2,442,200 |
公立(※2) | 地域内:229,479 | 537,856 | 29,410 | – | 地域内: | 地域内: |
地域外: | 796,745 | 2,410,313 | ||||
362,392 | 地域外: | 地域外: | ||||
929,658 | 2,543,226 | |||||
私立文系学部(※3) | 242,579 | 746,123 | – | 158,118 | 1,146,819 | 3,385,188 |
私立理系学部(※3) | 262,436 | 1,048,763 | – | 190,034 | 1,501,233 | 4,647,522 |
私立医歯科系学部(※3) | 1,038,128 | 2,737,037 | – | 831,722 | 4,606,887 | 4年制の場合: |
12,817,998 | ||||||
6年制の場合: | ||||||
18,292,072 | ||||||
その他学部(※3) | 270,233 | 951,119 | – | 237,196 | 1,458,548 | 4,311,905 |
※1:参考元:文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省例」
※2:参考元:文部科学省「平成28年度学生納付金調査結果」
※3:参考元:文部科学省「平成26年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
奨学金を借りた場合の返済額
大学の場合には、学費が高額なため、次のような、国や自治体、または公的機関、民間機関(財団法人・社団法人など)、大学が運営する奨学金制度を利用することが可能です。
奨学金名 | 運営元 |
日本教育公務員弘済会「奨学金」 | 公益財団法人 日本教育公務員弘済会 |
生活福祉資金 | 社会福祉協議会 |
あしなが育英会「奨学金」 | あしなが育英会 |
交通遺児育英会「奨学金」 | 交通遺児育英会 |
公益社団法人地域医療振興協会「奨学金」 | 公益社団法人 地域医療振興協会 |
教育ローン | 株式会社日本政策金融公庫(国が運営する金融機関) |
日本学生支援機構(JASSO)「奨学金」 | 独立行政法人 日本学生支援機構 |
その中でも全学生の3分の1が利用している奨学金が「日本学生支援機構(JASSO)」の奨学金です。
例えば4年制の私立理系学部の学費約465万円の内、384万円を奨学金でまかなったとすれば、返済総額は利率によって次表のようになります。
これを決められた返済プランによって卒業後に20年間かけて毎月返済していくことになります。
年利 | 20年間での返済総額(円) | 返還月額(円) |
0.50% | 4,045,295 | 16,855 |
1% | 4,257,117 | 17,737 |
2% | 4,699,817 | 19,582 |
3% | 5,167,586 | 21,531 |
【※引用元:日本学生支援機構(JASSO)公式HP】
奨学金に頼らない資産形成方法も検討してみよう
「奨学金破産」という言葉が注目されているように、社会人になって毎月の奨学金の返済ができずに破産してしまう若者も多いのが実情です。
しかし、奨学金を利用してでも、子どもにはできる限りの自由な選択肢をあげたいというのが親心だと思います。
もし給与だけでは子どもを大学まで進学させるのが難しいということがわかっているのであれば、奨学金の利用の検討と合わせて、今ある資産を運用してどう増やしていけるかも合わせて考えてみると良いでしょう。